相変わらずスパイダーマンと等身大の悩みというのは切っても切り離せない。
齢16歳のスパイダーマンの孤独が大人の黒い欲望の餌食となる。
今回は、より甘酸っぱい青春を、旅行形式でさまざまな観光名所で観せてくれるのだけど、プラハやベルリン、ロンドンと、絵になる街々をとても鮮やかで明るく観せてくれるのも心ときめくところ。
そしてその舞台でピーターはトニー・スタークの後継に関する問題と対峙せざるを得なくなる。
まだ子供で、青春を謳歌したいピーターにとってはいささか邪魔な問題だろうなあ、と同情を禁じ得ない。
そこを突くのが今回の悪玉だったりして、大人が持つ人生の荒み部分が増大しているのを見て、若者を食い物にする世の中の構造にやるせなさを感じさせられたなあ。
なんか「君ならタレントになれるよ」って言ってまわる歌舞伎町のスカウトのような欲望から性的要素を抜かした感じ。
高い志しを持とうとしつつも、恋人、友達、そういった自分の周りの人々が大切。
バトルシーンも目に映るものでスパイダーマンの心の中を察することができつつとんでもなく美麗。
心が楽しい。
悩める庶民の最高級エンターテイメント、スパイダーマン。
最後まで心ワクワクさせてくれる、素晴らしい映画でした。
監督:ジョン・ワッツ