※大喜利元ネタ
■女相続人(1949)
『死ぬまでに観たい映画1001本』より、62本目。
以下、ネタバレ備忘録。
莫大な財産を相続はできるけど他は何も持つことのできなかった1人の女性の話。
医者の父を持つキャサリン。
性格は内気で特に目立つところもなく、結婚の相手も見つからず。
そんな娘を、すでに亡くなり美しかった妻と比較している父=オースティン。
そこで現れたのが、若いイケメン男、モリス。
出会った瞬間から好意的で、キャサリン的には運命の出会いに感じたことでしょう。
出会って5秒で愛してる様子。
実際、数日の間にモリスからプロポーズをされて。
そんなわけあるかいな。
それにしても、こんだけ急なのに「愛してる」って言ってもわざとらしくないんだよね。
イケメンと自信ある態度で行けば、そりゃ違和感はないですわね。
しかしそんなモリスをキチンと怪しむ父。
財産目当てだと感じ、モリスとの結婚は許しません。
まあ、一般的な考えはこうですよね。
この娘を憂う父なんですが、娘にしてはもうイケメン野郎モリスに一直線。
「私たちは愛し合ってる」と頑なに態度を崩しません。
本当に愛し合ってるかの確認のため、苦肉の策として一度父娘で海外旅行に旅立って。
2人はそれぞれ別れて生活をするんですが、ここらでモリスの方の本性がチラ見え。
父親が留守の間に叔母さんと親しくなり、オースティンの家に入り浸り、酒や葉巻を嗜んだりして。
帰ってきた日も、男は葉巻と酒。
当然、父の心象は最悪で。
そして娘と2人での会話。
お父さんはどうしても娘に結婚をやめさせようと勢い余って「お前は取り柄のない女なのに、本気であの男に愛されてると思うのか」と言い放ってしまい。
これが決定的となって、自分は父に愛されていなかった、と思い込んでしまいキャサリンは父との決別を心に決めます。
父は父なりに思っていたんでしょうが、確かに自分にとって完璧だった妻と娘を比較して劣っているように見ていたのは事実。
そんな折、夜にモリスと密会。
モリスから駆け落ちしようと言われ、有頂天になるキャサリン。
しかし、キャサリンは父とはもう断絶をする覚悟。
それに対してモリスは、「お父さんとは仲良くしてくれ」と諭す。
ここらで、最初は『金に関係なく愛さえなければ何もいらないというような本物の愛の物語の可能性はなくなり、もう完全に財産目当てなんだな、というのが見て取れるようになるね。
一度家に戻って、用意をしてくるといい家を出るモリス。
10時半には迎えにくる、と言って。
ウキウキしながら待つ、キャサリン。
彼が連れ去ってくれなきゃ困る、と時間が来ても来ないモリスに焦り、憔悴し、やがて彼からの言葉じゃないその「金にならないヤツとは結婚しない」というメッセージを読み取り、父親のことと相まって絶望に満ち満ちてしまい。
そこから、彼女は変わります。
誰からも愛されることのない人間。
その自覚を持ち、人を信じることをやめたような振る舞いをして。
父の危篤にも顔を出さずに近くの公園でその時を過ごして。
5年後。
モリスが街に帰ってきた、と叔母さんが。
もう一度やり直してみたら、と能天気なこと宣って。
彼がもう来ているところを一度は留守と言いつつ、家の中に招き入れて。
モリスは父親がいなくなったことをいいことに、さらに彼女をたぶらかそうと思ってもない台詞をつらつらと並べ立てて。
しかし、さすがにキャサリンはもう学んでいて、執拗にキスをせがむ彼をかわし、以前結婚するときの約束をしたときのように、彼に結婚の準備をさせに行ってね。
それで、財産が自分のものになるとウキウキして気持ちで帰ったモリスがルンルン気分でキャサリンの家に来て。
そしてキャサリンは寝る準備をして、決して扉を開けず、ランプを手に自分の部屋への階段を上がっていく。
焦りながら扉を叩くモリスがアップになり、ジ・エンド。
なんていうか、お父さん目線にもなるし、娘目線にもなるし、全然パズルのピースがハマらないとこうなるよ、って作品でしたね。
製作国
アメリカ
監督
出演
キャサリン・スローパー:オリヴィア・デ・ハヴィランド
モリス・タウンゼント:モンゴメリー・クリフト
オースティン・スローパー:ラルフ・リチャードソン