※大喜利元ネタ
■逢引き(1945)
死ぬまでに観たい映画1001本より、65本目。
以下、ネタバレ備忘録。
中年女性がW不倫をするも、一線は超えずギリギリもギリギリで家庭に帰っていく話。
そこへその中年女性の知り合いのおしゃべりなおばちゃんが登場。そのテーブルに割って入り、女性に対して自分が話したいことをけたたましく捲し立てて。
中年男性は、そのおばちゃんにお茶を持ってきて、その後列車がきたので、その場を去っていく。
そして、中年女性も帰路に着く。
おしゃべりおばちゃんも帰る方向がいっしょだから、一緒の列車に乗って、めまいがするくらい言葉のマシンガンで撃たれて。
そこから中年女性の回想が始まり。
その中年女性の名前はローラ。
なんてことはない、一般的な主婦。
ある日、ひょんなことから医師であるアレックと知り合って。アレックには妻がいて。
最初はなんでもないふうに思っていたんだけど、映画とか一緒に観にいくようになって。
ついには気持ちが通じ合うようになって。
1ヶ月経たないうちにふたりは愛し合ってることを確認。
その後もデートをしたりして。
食事に行けば、知り合いと顔を合わせたり。
しかし、ローラは心の中では葛藤してるんですよね。
このままでいいのか、と。
夫も子供もいる身で。
この先には破滅しかないというのに。
しかし、燃え盛る恋の炎はそうそう消え失せることはなく、頭ではダメだっつってんのに、身体は彼を求めます。
ある時、彼は彼の友達の車を借りてドライブした後、友達はいま出かけてるから、とその家に寄ることを提案してきます。
そんな彼女は一度は断って列車に乗るも、気持ちが抑えられず、その彼がいる部屋へ。
燃え上がる二人。キスしたりして。
しかし、予定より早く彼の友人は家に帰ってきて。
彼女は大急ぎで裏口から逃げおおせます。
残してしまった彼女のスカーフは彼の友達が彼を幻滅させるものになってしまってね。
惨めな思いで公園のベンチで呆然としているローラ。
もう破滅に向かってまずい状態に陥っていて。
ベンチで座っている彼女の元に、アレックがきて彼女に気遣いの言葉をかけるも。
迷っていたことを決断した、とローラに伝えます。
兄の手伝いでヨハネスブルクに家族と行くことにした、と。
ただ君が行くなと言えばいかない、なんつって。
悩みに悩んだ末、ローラはそんなアレックとの別れを決意します。
「死にたいわ。」
つらさからついついローラの口からそんな言葉が出たりしてね。
アレックは、生きて僕のことを覚えていてほしい、なんつってね。
そして、別れの日。
アレックが乗る列車を喫茶店で待っていて。
二人の最後のときであり、もう永久に会うことができなくなる、この苦しさ。
そこで、物語は冒頭に戻ります。
二人が黙って座ってると、空気を読まずおしゃべりおばさんが割って入ってきてペチャクチャと聞きたくもない言葉を次々と繰り出しまくります。
なんて壮大な前フリ。
オイラもこれには爆笑。
貴重な時間だ、っつってるのに。
二人のそれぞれの気持ちとかあるでしょうに、話好きのおばさんに潰されてんの。
さぞ念の力で呪い殺したい気持ちになったことでしょう。
こんなにも盛り上がるヤマ場があるなんて。
ペットボトルのおまけでついてきた栓抜きが今でもメチャクチャ使える、といったメインじゃないところに価値があった感じに似ているね。
涙なしでは、じゃなく、笑いなしでは見られないシーンですわ。
不倫をすると、そわそわしたりドキドキしたり惨めになったりと感情のジェットコースターがあって、精神的に太くない奴はやめた方が良い、ってのがありありとわかって。
さらにはおばちゃんが割って入ってきてイライラさせるところは「昔の不倫映画ってこんなんだったんだ〜」ってところから大ドンデン返しかましてくるその急降下こそドドンパ級のジェットコースター感が味わえる、そんな人間の性の切なさをぶっ壊す破壊力のある映画でした。
製作国
イギリス
監督
出演
ローラ・ジェッソン:セリア・ジョンソン
アレック・ハーヴェイ:トレヴァー・ハワード
ドリー・メシター(おしゃべりおばさん):イヴァーリー・グレッグ