置き場所に困ることこの上ないもの、それがソファである。
ソファを譲り受けることになったのだが、せまい我が家ではその置き場所がうまいこと定まらない。
あるところに置けば、クーラーが直にあたり頭痛を起こすし、別のところに置くとただでさえ狭い部屋圧迫感を強めてしまう。なかなかの難題である。
そんなときに、気球があれば、と思う。
気球があれば外に浮かせられるのに。
窓があり、その2、3m先にソファが来るように位置取り、更にその後ろに気球をくくりつける。そうすることでソファが浮き、そこに縄ばしご伝いで座れば、そこでゆったりとくつろげる。部屋のスペースを取らず空に浮かぶ、まさに夢のような置き場所だ。
友達にこのソファのことを、「どうなってるの?」と聞かれれば、「気球つけてるだけだよ」と答えれば、のび太がスネ夫たちに自慢するかのような気持ちも味わえる。
もちろん、リスクもある。
何らかの理由によってソファと繋がれている縄が切り離されて、そのままくつろぎながら空中をさまよう『少し優雅な風船おじさん』と化してしまう可能性も、残念ながら、ある。
そうなった時、思い出してほしい。
ソファの上でできる、精一杯のことを。
モモあげだろうか。三点倒立だろうか。側転は何回できるだろうか。
次の人生のことを考えると、もう、くつろいでいられない。
「次回作にご期待ください」
打ち切りのマンガの煽り文が出てくるような状況になったのなら、次人生に向けて、ウォーミングアップをしておくのが有効である。