思ってもみないことばかり。

「ほめる、認める、肯定する。」をモットーに、何もないおっさんになった自分が大喜利や日々のことを書きつづることこで変化していくさまを記録するブログ

『在庫』


その店に目当てのものが無いと、驚きと苛立ちの感情が入り交じることがある。
コーンチョコ目当てでスーパーに行ったら、そこ一列、商品がない。
両隣の列には商品がぎっしりなのに、である。
これでは、なんのためにこの店に来たのかわからない。犬だったら、せめてダメ元で何処かの壁にマーキングを試そうとするくらいのレベルの話だ。
一応、店員にバックヤードにないか聞いてみたのだが、ものがあった試しがない。
仕方ないので隣に並んでいた『柿の種チョコ』を買って帰るのだが、それは似て非なるもの、柿の種の米っぽさがチョコとは多少の不協和音を生むので、なおさら買えなかったコーンチョコの事が悔やまれるのである。

在庫がないとき、なにか雨の日のディズニーランドみたいに、在庫がないことでハッピーになれることが棚の装置としてないのか。

答えは、『モナ・リザ』の1/20複製画である。
わざわざフランスに足を運ぶまではおっくうだが、近くのスーパーでそれが見れる、というのがミソである。ハッピー装置としては申し分ない。
在庫がない場合、その棚の奥にはモナ・リザが微笑んている。
それで良いではないか。
そんな気にさせられる。
もちろん、モナ・リザ以外にも、ゴッホの『ひまわり』だとかミレーの『落穂拾い』などもそれぞれの棚の奥に配置すれば良い。
お客である我々は、それがあるだけで、なんだか得した気にもなれる。

店には、駆け出しの美大生をバイトで雇えば、設置経費が浮くことだろう。積極的に未来のアーティストである美大生を棚卸しで最低時給+100円以上で働かせて新たな文明開化に貢献ほしい。

そして我々は、この棚の先にある心打つ名画があれば、もう商品の在庫がなくったって、ムンクの『叫び』のように頭を抱えるポーズを取ることもなくなるのである。