ハイムリック法には怖ろしさがある。やる方も、やられる方もだ。
例年、餅を喉につまらせて人がお亡くりになるというニュースを見かける。
「もし、隣の人が喉に持ちをつまらせて、オイラがハイムリック法をやることになったら、餅を出せなかったらどうしよう?」という、死刑執行人がもしかしたら次に押すボタンで自分が人を殺すかもしれない、という思いに似た思いが湧き上がってくるのだ。
後ろから抱きかかえて、グッと締め付けるように力を何度も入れる、ということをするようだが、すでに手を回しても回りきらない、鏡餅のような体型の知り合いには通用する方法なのだろうか。
そして、世の中には悪意のある人間がいる。
骨肉の争い中なのか、結婚してと毎回言われた不倫相手に対してかはわからないが、人を殺そうとするやつらだ。
彼らは雑煮でまるまる餅を入れ餅で喉をつまらせては殺そうとし、たまたまを装うご当地レスラーを近くに配置してハイムリックをさせては殺そうとし…餅は殺しの二段構えに持って来いだ、と思っているのだろう。
正月の一番の敵は餅じゃない。業の深い人間だ。