思ってもみないことばかり。

「ほめる、認める、肯定する。」をモットーに、何もないおっさんになった自分が大喜利や日々のことを書きつづることこで変化していくさまを記録するブログ

『からあげ』


無理やり口に詰められても、怒るどころか半笑いになってしまうもの。
それが、からあげである。
イグアナたちも、オイラたちも、からあげが入ってくるなら等しく、口を開けて待てる。
からあげが坂を転がっていった先に穴があったのなら、その穴につづらを持ったネズミがいようと、からあげを取り返す。
大皿に一つからあげが残っても譲り合うことがない、そんな魔性の食べ物なのだ。
からあげは、大抵どこの店に入っても旨い場合が多いが、手軽に食べられるのは何と言っても「からあげクン」である。そろそろ、アンニュイな午後を表現した濡れたしっとり系の「からあげサン」となって、後輩に道を譲って欲しいとも思うのだが、ダウンタウンが引退しないのと同じで、まだ「からあげクン」なりにやり残したことがあるのだろう。
そんな食卓のヒーローであるからあげたち。
だが、たまにからあげを握りしめて怒りを表している輩もいる。
彼はなぜ、愛されて当たり前のからあげをそんなふうにグチャグチャッとするのだろうか。

それは、からあげに親を殺されたのであろう。もしくは恋人を。
からあげ大食い大会で、からあげを喉に詰めての窒息死。
彼がそこで見たのは、からあげから父親の口に飛び込んでいた姿だった。
復習の鬼となった彼は、その日から揚げたてのからあげを握りしめることになる。

その話の続きは、映画館で見られる日を楽しみにしていて欲しい。
そこであなたは、父親とからあげの、今世紀最大の本当の愛の物語を知ることになるだろう。

ちなみに、握りしめたからあげは、スタッフが美味しく召し上がりました。