久しぶりに会った昔のちょっとした知り合いに顔を覚えておいてもらえるのは、嬉しい。
期待をしてなかったのなら、なおのことだ。
そこで、頭をよぎったのがディズニー映画の『リメンバー・ミー』だ。
あの話の中で、この世で家族に覚えておいてもらえれば、死者の国に滞在できるという部分がある。
現実も、同じだ。
人に肯定的に覚えておいて貰えれば、社会の中で半透明になって生きなくて済む、という自信を持つことができる。
今回のそのちょっとしたことで自分のことを人に記憶してもらいたい、というのが心の奥底に眠っていたのだと感じた。
しかし、そう簡単に人の記憶には多くのことを残せない。
せめて、一つだけ、どこかを覚えておいてもらえるなら、それはどこか。
まずは、蕎麦アレルギーとか、そういうことである。
久しぶりに会ったときに、「これ、余ってるから一つあげるよ!」と言われたのが、『蕎麦の実キャンディ』とかだともらいづらいし、せっかくもらったものをムゲにしたくない。
まず、人は人に対して、アレルギー目線で記憶することで、世の中が穏やかな再会で溢れかえることになる。
ちなみにオイラが、個人的に覚えて貰えそうなのは、アレルギーに関係ない唇の分厚さと色である。
映画『リメンバー・ミー』は主人公ミゲルの歌声が素晴らしい何度見ても、泣ける。
しかし、その声は変声期前なので、もう戻らない。
しかし、それは、オイラたちの記憶の中に残しておこう。
リメンバー・ボイス。