10月末日までは、かぼちゃが崇め奉られるのを見る。
目のあたりを三角、口をギザギザの形に切り取ったかぼちゃを模したポップアップや旗などでどこもかしこも、かぼちゃ様の力で儲けることに必死になること請け合いだ。
そして、11月1日になると、今度は雪とサンタクロースが神輿に祭り上げられていく。先述したジャック・オ・ランタンはまた人智の知れないところへ帰っていくのだ。
しかし、本来は日本人にとってのかぼちゃは、煮物と天ぷらのためにある。おばあちゃんちに行くと高確率で出されるも、こどもの頃かぼちゃが好きだったことは少ないのではないだろうか。
そんなことは忘れ、昨今のハロウィンブームが起こるとやれパンプキンプリンだパンプキンケーキだとおばあちゃんの思いを込めた料理のことなどは露ほども思い出せず、その時期だけかぼちゃのことが好きになる。
もちろん先述した通り、11月に入ると、その魔法は解ける。
さて、11月に入って、大量に出回った、ジャック・オ・ランタン。
すべて廃棄されていくのは世の中の流れの上で仕方ないのだが、なんとかほかに再利用する方法はないのか。
とりあえず、アンパンマンの新しい顔に使ってみるのはいかがだろうか。
昨今、小麦も値上がりとなり、なかなかジャムおじさんの懐事情も厳しいことだろう。
そこで、廃棄となった大量のかぼちゃの顔である。
おわかりかと思うが、アンパンマンの顔はおそらくアンコが詰まっていれば別に小麦を使ったパンじゃなくても良いと思われる。
なので、ジャック・オ・ランタンの中にアンコを詰めて、アンパンマンの顔が泥やカビで汚れたところにバタコさんが「新しい顔よ!」と投げてみよう。
ヘロヘロになった頭部の代わりに収まったジャック・オ・ランタンは、いままでのマンネリしたやり取りに霊的なフィールドを加え、空気を少し澱ませたり、バイキンマンの背筋をゾクッとさせるのかもしれない。
そういったやりとりが翌年8月末くらいまで続いたら、また9月には通常のハロウィンの世界に数多あまったランタンたちを返そう。
なぜなら、使えるものは使わないと時期を問わずもったいないお化けがやってきてしまうからである。