いつだって耳をそば立ててる。
レオパレスの隣の部屋にいるカップルのエスカレートするいちゃつき。
セミが天ぷら鍋の中を死地に選んで油であげられている音。
川に小便をしている人を見ながらそのせせらぎと排泄音との調和に耳をそば立てて。
特に駅のトイレが全部埋まっているときには切実に耳をそば立てますよね。
駅のトイレにやっとの思いで着くと、トイレのドアが5個とも閉まっていて。
どこでも良いから早く終わってくれ、と神に祈りながら、切実に耳をそば立てて、5個のトイレそれぞれから漏れ出る排泄音に全集中しますよね。
肛門括約筋を引き締めながら。
時に背伸びしながら。
というように、耳をそば立てることによってピンチを切り抜けたり、新しい発見があったりしますよね。
聴覚さまさま。
ただ、珍しく耳をそば立ててもなんの役にも立たなかった。いや、役に立たせなかった人もいる。
それは、一昔前にはなるけど、わりとみなさんご存じかと思われる野々村議員。
あの謝罪会見?動画は衝撃的でしたよね。
耳の前に手、当ててんの。取材陣の声をふさいでる。
耳の使い方わかってないからね。
タレントでもない記者会見慣れしてない人だとああいうふうに動転してしまうのか。
あと、耳をそば立てても良いことばかりとは限らないねえ。
職場でたまたま小声で話している人の話が気になって不倫の話でもしてんのかと耳をそば立てたら、プリキュアの思い出話してたりとか。
基本的には、耳をそば立てるのは、人々の生の情報収集を得られる処世術ではあるんですけどね。
少し後ろめたさもつきまといますよね。
p.s.耳をそば立てるというのは、その人々が本当に話したいことや、その場にある生の情報を知ること。
ネットにないものが、そこにある。