思ってもみないことばかり。

「ほめる、認める、肯定する。」をモットーに、何もないおっさんになった自分が大喜利や日々のことを書きつづることこで変化していくさまを記録するブログ

『得』

 

「え!いいの!?こんなに!?」
これが言いたくて、40年生きている。

毎日、お得を求めてさまよっているオイラたち。経済的利潤が重視されている社会において、『お得』は、至上の幸福であり、地上の幸福であり、我らエコノミックアニマルはそれが生きる活力となっているのだ。

最初に伝えたオイラが言いたいセリフは、おつりをそのままもらえるタクシーの運転手が一番言うことが多そうだ。
しかし、これからはカード決済スマホ決済となり、そういったチップ的にもらえるお得なお金が減っていくことだろう。
では、どこに「え!いいの!?」は転がっているのだろうか。

それは、もともと値段の決まっていないところにある。
例えば、大道芸だ。
休日に公園を歩いてあれば、たまに見かけることのあるあの人たちは、一生懸命寝る間も惜しんで芸を磨き、パフォーマンスも火の棒を回したり、イスを積み上げた上に乗ったり、と危険と隣り合わせだ。
それでいて、「最後のパフォーマンスになります」と顎元についてるマイク越しに集まっている親子連れやカップルに伝えると、少しづつ後ろに下がるのを感じたり、カップルの身体の多少の揺れが離れるウォーミングアップのように感じたり、大道芸人は数分後に出すことになるハット帽への不安とも闘わなくちゃならなかったりして。
4割くらいの人たちがいちばんの大技を繰り出すクライマックスを二、三歩下がりながら見物しているのを確認しつつも、明るく振る舞って。
ハット帽には100円や、500円、1000円と、入っていくが、そんな中で、稀にあるだろう。
一万円入れていく人が。
「え!いいの!?」
これがあるからやめられない。

さて、オイラはそんな大道芸人になれるわけでもない。だったら、逆にまず一度、「え!いいの!?」を言わせて見るのもいいかもしれない。
大道芸人がパフォーマンスを終えたあと、一万円を入れてみろのも一考だ。きっと、大道芸人は喜んでくれるはずだ。
でも、オイラも先ほどから伝えた通り、生粋のエコノミックアニマルなところがある。
そこで、ハット帽に一万円を入れ「こんなにいいんですか?」と言ってもらったあとは、「あ、これ、二十回分です。顔、覚えておいてください」と写真を添えて伝えようではないか。
大丈夫、この行動は決して悪い行動ではない。むしろ、他の人より多く、生活の足しを渡しているのだ。

得をするより徳を積め。
大道芸人に対しては、最終パフォーマンスまでジリジリとその場を離れようとしないことが一番嬉しいことであり、それを心得ておけば、「え、こんなに!?」というほどの徳を積めるはずである。