使われないほうが良い存在でありながら、決して切らしてはいけない『消化器』というものがこの世にはある。
いざボヤ騒ぎがあって『消化器』を使おうとしたときに、その人間の真価が問われる。
火事を知らせるために消火剤でマンションの壁に『火事だ、逃げろ!』とメッセージを書いみたり、使い方が分からず消化器を振り回し風を起こして消そうとしたり、輪っかの部分を取りそのままレバーを握って火災のところまで持っていくのに消火剤を床に垂れ流して無くしてしまったりと、非日常になったときにその人の対応能力が試されるのだ。
しかし、一度も使ったことのないものを危機的な状況になったときにいきなりやってみろ、というのは、酷な話でもある。
さらには消化器というのは一家に一台必ずしもあるわけではなく、一つのフロアに2台、3台と、自室の外にあるのが常。
意識することも少ない。
では、もっと消化器を身近にして、いざタバコの消し忘れが燃え広がったときに気軽に消化ができるようになるには、どのようにすればよいのか。
そのヒントは「砂かけばばあ」にある。
あの感じで、煙状ではなく砂状の消火剤があれば、スプラッシュ感覚で消火できるのではないか。
そして、オイラたちもそういったことを見越して、普段から「砂かけばばあ」にように着紫っぽい着物に白髪のカツラをして目にゴマのようなゴミをいっぱい入ればばあになりきり、世の中にいる政治の世界や会社の重役の地位にいるねずみのような男たちに、いつでも議事堂や会社の前で『エアー砂かけ』のデモを行うことで、砂かけすなわち消火活動を身近なものにしておきたい。
そうすることで、いざビーフシチューを作る際に入れた赤ワインの炎がキッチンペーパーに燃え移ったときも、そのエアー砂かけでかけようとしていた相手を炎に思い浮かべ、その強い気持ちで消化することができる。
習慣化することより、我が家の子泣きじじいや猫娘の命を守ることができるのである。
最初に行った通り、消化器とは、できれば使われずにいて、いざとなったときに役に立つもの。
人生としてとらえたときに、そんな消化器を『この世の秘密兵器』のと重ね合わせてとらえる生き方もまた、オツなものなのかもしれない。