思ってもみないことばかり。

「ほめる、認める、肯定する。」をモットーに、何もないおっさんになった自分が大喜利や日々のことを書きつづることこで変化していくさまを記録するブログ

『いびき』


いびきは、寝ている間の漢の表現、その人らしさである。
一日の疲れ、すなわち想いが詰まっている。
取引先に下げたくもない頭を下げ、上司にはおべっかを使い、さらには行きたくない飲み会まで連れていかれて、家に帰ってかくのが、その日の想いの集大成なのだ。
そこには破壊的なものすごいエネルギーがある。
それは、となりの妻を何度も起こし、妻に汚い言葉でいびきをかく夫を罵らせ、結果、夫婦仲に亀裂を入れる。
次第に二人は睡眠不足に陥り、夫は運転事故を起こし、妻は積み上げられたケースから降り注ぐ酒瓶の下敷きになる。
これが、いびきのエネルギーが破壊的に使われた場合だ。
では、まったく違った使われ方はないのか。

春の息吹、である。
まだ雪も溶け切らない冬の終わりごろ、日中に近くの丘で寝転んでみよう。そのうちに、ウトウトとし、いびきをかいたとき、春の息吹がその音で産声をあげる。
雪は急速に溶け出し小川を作り、ふきのとうはニョキニョキ生え、メダカは学校を開校する。
それが、丘の上でいびきをかいて眠っているうちに、知らぬ間に執り行なわれているのだ。
そのようなエネルギーの使われ方もないことはないのである。

いびきをうるさいと見るか、豪快と取るか。
打ち上げ花火の見方もどこから見るかで印象が変わるように、いびきをどこからとらえるかで、その意味は大きく異なるのである。