思ってもみないことばかり。

「ほめる、認める、肯定する。」をモットーに、何もないおっさんになった自分が大喜利や日々のことを書きつづることこで変化していくさまを記録するブログ

『台本』


家に台本のある生活は、夫婦生活を円満にすることだろう。
家に帰ったら、台本がおいてあり、それを一字一句演じることで、妙な軋轢が生まれない。これは、『どちらが尻に敷かれるか』で作家がどちらになるかが決定するわけだが、大抵の場合どちらになるかは言わずもがなだ。
そうして、最初は「ただいま、愛してるよ」「君は薔薇より美しい」とか愛のセリフばかりが書かれているものが、そのうち「君の言うとおりだよ」「君は何も悪くない」と愚痴を聞くセリフが多くなり「はい、今月も給料は○○円でした。稼ぎが少なくてすいません」「肩をおもみしましょうか」とだんだん肩身が狭くなる発言が用意され」最終的には「・・・」と、セリフがなくなってしまうのである。
そのあと書かれるのは、もっぱら行動のみの『帰宅後、すぐさま夕ご飯を作る』『便所掃除が好きなので、夕食後は便所を掃除する』『今日こそ、イ・ビョンホンのファンミーティングのチケットをなんとかする』となり、いつしか台本がある生活は日に日に心を蝕むこともあるかもしれない。
そこから、どうすれば昔の可愛かったあの頃の妻に戻ってもらうことはできるのだろうか。

アドリブ、である。
今まで一切入れてこなかったアドリブを差し込むのだ。
相手を愛するあまり、セリフを一字一句間違わずに言ってきたが、もう、相手からの愛は伝わらないのなら、台本内で『自室で二時間瞑想』と書かれた部分に、アドリブでミュージカルを入れてみよう。
部屋から出て「すばらしい〜 ものがたり〜」と、歌いながら部屋のドアを開け、今までのマンネリの台本に風穴を開けるのだ。
そうして相手の手をつかんでくるくると二人で回り、時には王子、時には野獣となり真実の愛を思い起こしてもらうことを期待する。
そうして二人はキスをし、妻は魔法が解けた王子様のように「本当は優しい人」になり、いつまでも仲良く暮らしましたとさ、となるのである。

台本がないとうまく演じられない、という人もいるし、台本があることによって何でもできるようになる人もいる。
後者のタイプは、ぜひとも景気が上向くようなうまい筋書きを書く作家とタッグを組んで、総理大臣を担ってもらいたいものである。